コラム 手織りの豆知識
織りの計画をたてる時には、経糸の必要量をおおよそでも知らなくてはなりませんし、逆に手元にある糸でどのくらいの織りができるのか糸長を知りたい時もあります。 必要量、糸長は「算」に対応した仕立てになっている糸(経糸の必要量、経糸の必要量その2 参照)の場合は簡単に判ってしまいますが、そうでない場合はちょっと面倒な計算をしなくてはなりません。計算が面倒というよりは単位が入り混じっているので面倒なのですが。 「番手」の表示があり、重量が判っている糸は長さを計算することができます。 |
A.綿糸の糸長 Ⅰ.1番手とは「1ポンドあたり糸長が840ヤードある糸の太さ」と決められています。 これを単位をメ-トル法にして書き換えると 1ポンド=450g 840ヤード=768m ですから 840ヤード/ポンド は 768m/450g 1.7m/g となり 1番手とは「1gあたり糸長が1.7mある糸の太さ」となります。 要するに「g当たりの糸長(m)=単糸番手換算した数×1.7」ということになります。 Ⅱ.番手表示を単糸番手に換算する 【例】 20/3: 20÷3=6.7 30/2: 30÷2=15 「20/3」: 20番手の単糸を3本撚りにしてあるという表示です。「にまるみこ」と読みます。「みこ(みっこ)」の「み」 は「ひい=1」「ふう=2」「みい=3」の「みい」の「み」、「こ」は「撚り」の意味です。 「2本撚り=ふたこ」「3本撚り=みこ(みっこ)」「4本撚り=よこ(よっこ)」 Ⅲ.単糸番手換算した数に「1.7」をかける 【例】20/3の場合 1.7×6.7=11.4m/g 30/2の場合 1.7×15=25.5m/g Ⅳ.これを元に、糸重量から、糸長を計算する。 【計算例】 1. 48/2 が 520g あります。 糸長は? ① 48/2=24 ② 1.7×24=40.8m/g ③ 40.8m/g×520g=21216m 2. 30/3 が 75gあります。 糸長は? ① 30/3=10 ② 1.7×10=17m/g ③ 17m/g×75g=1275m B.絹紡糸の糸長 絹紡糸の太さ:番手表示の割り算を実行した数字=m/g 例えば 60/2の時 60/2=30→30m/g C.生糸の糸長 生糸の太さ単位=D(デニール) 1g当り9000mの太さを1Dと言います。 たとえば200gで9000mであれば200D 逆に100Dの生糸は 90m/gとなります。 また、糸の形状等によって違いがあります。計算結果はあくまで参考程度にご使用ください。 他にも糸の太さ表示は様々なものがあります。ご注意ください。 |
手元にある経糸の糸長が判れば、それでどの程度のものが織れるかの計算は簡単です。 今1250m経糸があるとします。これで織れる長さは 寸間30羽の筬(両目)を使い、巾38cm とすれば、整経できる長さ=1250m/300×2=2mとなります。 |
糸長でおもしろいのは「20/3」の場合です。普通1反=3丈=30尺=11.4mです。20/3のg当たりの糸長は、上でも計算したように「11.4m=3丈」なのです。奇妙な一致ですね!? |