八つ縄文織りの目指す処

 八つ縄文織りの特徴は手織りの3要素「綜絖通し」「結合状態」「踏み木の踏み順」に「倍率」という新しい要素が加わった事です。その事により経、緯方向とも柄の倍率を自由に設定でき、更に経、緯糸の浮きが無い事、4枚綜絖、4本踏み木で製織出来る事が大きな特徴です。この特徴をフルに発揮させる事により「手織りの柄デザインにより高い自由度を与え、手織りの柄に対する発想を自由に手織りに展開できる方法論を作りたい」、それが出発点でした。(HP→「柄のデザイン」→「手織の世界を自由に駆け回る」をご参照ください)
 PCを使用して組織図を作成する事から始まり、組織図の持つ特性を見つけ出し、それらを縦横にリンクさせたり、ばらしたりする作業を繰り返してきました。手織機という本当に限られた小さな世界なのに、思いもしなかった結果が芋つる状態に絡み合っている姿に驚かされる事の連続でした。
 信州諏訪の女性達によって永く織り伝えられてきた「平織りの市松」をベースに持つ「八つ縄文織り」と、西欧に同様に永く伝えられた「オーバーショット(OS)」が遠い彼方の手織りの手法にも関わらず互いに深く絡み合い、そして私の中で影響し合い「八つ縄文織り」が最初に目指した目標のピークに大きく近づいたのではないかと感じます。それは手織りの様々な蓄積された知恵が「八つ縄文織り」のすべての場面で極めて有効に機能する事を強く強く感じるからだと思います。
 従来の「八つ縄文織り」は織りの組織の縦横比が同一のものが多かったのですがここでは組織の縦横比を自由に変化させたパターンを分類したものを紹介させていただきます。分類は倍率を変化させる前の、元図の持つ特性(=元図作成の手順の類似性)に依っています。
 今7分類の段階ですが、更に発想次第で興味ある展開に大きな期待を持っています。思いもつかなかった織り柄が展開され大きく羽ばたける事が本当に楽しみです。

【注】 2017/9/23 分類番号を変更しました。


 織りの地形図である組織図を制作するにあたりY.関さんに開発していただいた「式表現による任意多綜絖、任意多踏み木からの組織図作製app」が、また「式表現(formula expression)」という考え方そのものが手織り探検隊の強力な方位磁針となった事を付記しておきたいと思います。




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